はじめに社史ありき

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「社史」を言葉として調べてみると「会社の歴史」と書いてある。

社史研究家の村橋勝子によれば、社史の定義は「企業が自社の歴史を、社内資料に基づいて編纂し、会社自身の責任において刊行したもの」としている。つまり、会社がつくる自社の歴史ということ。

多くの社史は、会社の節目と言われる周年の時期に発行していて、例えば50年、100年という大きな節目、10年ごとという小さな節目などが発刊時期としやすい。もちろん、25年目に作ってもいいし、1年で作られることもある。なんにせよ、そういう意味でタイトルが『〇〇50年史』とか『〇〇100年史』となり、社史ではなく「年史」とも言われることがある。他にも「記念誌」とか「周年誌」とかの表現はあるが、ここは明確な定義は特に無い。

この社史というモノ、村橋勝子によれば日本国内で毎年発行される社史の数は概ね200点ほどになるそうだ。会社に長年勤める人でも、多くて10年に一度、タイミング次第では一度も自社の社史を手にすることなく退職してしまうということも考えられる。そういう点から、多くの人にとっては「手にしたことも、見たこともないモノ」と言える。

実際の社史は、どんなものなのか見てみる。

本屋さんに売っているわけでもなく、社長室や応接間に飾ってあったりするくらいで、手近に見つけることはなかなか難しい。とはいえ一昔前とは違って、webなら情報としていろいろあったりする。

まず一番に参考になりそうなのが、約2万冊の社史を所蔵し、その質・量ともに全国有数のコレクションでもある神奈川県立川崎図書館 の社史コレクション 。社史として、ごつい本や堅苦しいものが多く紹介されているが、いわゆる「本」だけではなく、なかには古典的な「かるた」やら「すごろく」、漫画やビジネス雑誌のようなものまである。社史のカタチは特に決まったものはなく、いろいろな会社がいろいろなモノを自社の歴史をテーマにして作られている。つまり「歴史を含めて、その会社らしいものを、周年というタイミングで作っている」というのが最近の社史の姿と言える。

もちろん、この図書館に限らず、大学などで蒐集・展示していることもある。また、企業が地元図書館に寄贈することもあるので、規模の大きい県立の図書館などには少なからず社史が所蔵されているので、調べてみると意外と近くにあったりする。

 

一応、弊社のオープンギャラリーには、そこそこ所蔵社史があり、実際に制作した社史もあるので、十分参考にはなるかと。